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第一章 -二人の奇術師(1)-

 先日そんなことがあったものだから、今年高二になったばかりの少女―早瀬 美弥はショックに立ち直るまもなく連日様々な人に取り囲まれることになる。友達が心配してくれるのはうれしいのだが、やれマスコミだの、野次馬だの、しまいにゃ人気者になるための裏工作とかだなんていわれるものだから、いくら鈍い私でも頭に来る。そして疲れる。念のために言っておくと、あの日以来これと言って何も起こっていない。きわめてというと大げさに聞こえるけど、いつもの暮らしを送っている。とはいえ、両親は私が小さい頃から忙しくて未だに家に帰ってきていない。父親にいたっては写真でしか知らない。だから中学校の頃までお兄ちゃんと二人暮らしだった。そしてお兄ちゃんも私が高校に上がるとき突然旅行に行くとか言い出したっきり帰ってきていない。警察に届けたけど身元不明と言われて現在に至っている。もうだいぶなれたけど―、やっぱり今でも一人は寂しい。それが私の中での、今のあたり前の生活だから、人一般がいうほど平穏な生活とは思えなかった。もし私の身の回りに、彩や由美や・・・、たくさんの友達が居なかったら私は本気で自殺を考えたかもしれない。そう、今私はちゃんと生きてる。もう少しかかると思うけど、この恐怖もきっと乗り越えられる。さすがにあの日から二、三日は学校を休んだけれど、もうほとんど楽になってきている。みんなのおかげだ。そしてもう一人―。
「大丈夫?」
少年は気落ちしている私を見つけては優しい言葉をかけてくれた。
彼の名前は、真木 天聖(まき てんせい)。
始業式の次の日に編入してきたらしい。にもかかわらずもうクラスになじむどころか、学年中の人気者だった。
名前もかっこいいけど、文字通りのイケメンだった。※**※それでいて春の日差しのように暖かい。それだけじゃなく、彼には特技があった。
「あ、大丈夫だよ。ありがと」
「そっか」
彼は満面の笑みを浮かべてにっこりと笑う。なんというか、ちょっと引き込まれそうになる。―と、右手人差し指を立てて言った。
「でもせっかくだから、早瀬さんがもっと元気になる魔法を見せてあげるよ」
私は不意を突かれたかのようにきょとんとする。真木くんは私に何をしようというのだろう?うまく頭で変換できなかった。
「マほう・・・?」
「そう、魔法」
そう微笑みながら頷くと、私もつられて頷いてしまった。つい、瞳をみてしまう。純粋な、すっとした感じの深い黒い瞳。それは自信に満ち溢れた瞳でもあった。
立とうとすると、彼はそのままでいいよと言い、代わりに右指の人差し指を突き出すようにジェスチャーをする。これで人差し指同士を合わせたら昔再放送で見た映画のワンシーンだな、などとばかなことを考えつつ従う。すると真木は学ランの胸ポケットから紫色のハンカチを取り出し、それが何の変哲もないただのハンカチであることを確認させて、私の手を覆った。そう、彼は手品が得意だった。覆ったハンカチの上から、ちょっとごめんね、といいながら左手で私の人差し指を握る。
ごっほん、と大げさに咳払いをして彼は続けた。
「僕はただ早瀬さんの指にハンカチをかぶせて手でにぎってるだけだよね?」
とりあえずその通りなので頷く。
「でも僕が右の指を鳴らすと・・・」
ぱちん。
彼ははいどうぞ、といった感じでゆっくりと手を離し、ハンカチを取った。
え・・・ああ!!
指にかわいらしい花柄のアクセサリーのついた指輪がはめられていた。
何も違和感はなかったはずなのに。
そもそも彼は私の指を握っていたはずである。
「どうやって・・・?」
その時、一斉に拍手がまいおこった。
知らぬ間にクラス中の生徒が私の周りを囲み、その光景を緊迫して見ていたのである。いくら私が鈍いとはいえ・・・、ほんとに気付かなかった。
ふゅー、ひゅー。一部の男子が、拍手の変わりに口笛を鳴らす。小さな教室がまるでオリンピック会場のような雰囲気に包まれていた。
中には、「あんなのテレビでやってるやつのパクリだぜ。Mr.なんたらとかがさ」と冷ややかな人も居たが、それでも実物を見るのは初めてなのであっけにとられていた私も大きく拍手をした。
「あ。うれしいんだけど、あんまり叩くと壊れるよ」
おっと。
彼の冷静な突っ込みがなければせっかくの彼のプレゼントが台無しになるところだった。
「ありがとう」
あまりに淡々とやるものだから、なんだか告白されてるようなムードになってきて途端に恥ずかしくなる。それでもお礼はきちんと言った。
「コクれ!コクれ!」
お調子者の男子が騒ぎ出す。
「あ、ずる~い。私にもやって、やって」
うらやましがる子が出てくる。
なんだかそれは、私が今まで経験したことのない、不思議な世界だった。
ふと、小さい声で私に言った。
「元気でた?」
「うん。ほんとにありがと」
「よかった。」
また、私に向かって微笑んだ。と、思いきや・・・。
「早く、早く!!」「こっちこっち」
彼はあちこちにひっぱりだこになり、チャイムが昼休みの終わりを告げるまで彼はたくさんの手品を披露することになった。
よくネタに困らないものだなあ。正直すごいと思った。みんなが、テレビで見た手品を立て続けにリクエストし、それになんでも答えてみせる真木。
そんなこんなで、今日一日が過ぎるのがとても早く感じた。

「鳩のやつやってよ。この前やってた帽子から出すやつ。あれ俺も練習したことあるんだけどさ―」
授業も終わり、帰るだけとなった放課後も彼には関係ないらしい。
「ごめん。今日鳩は連れてきてないんだ。今度ね」
ちょこっと訂正。やっぱりなんでもとはいかないみたい。



 -二人の奇術師(1)-(完)





誤字脱字などありましたらご報告お願いしますm(_ _)m
なお、人物の状況描写のところはまだ頭の中で固まってなかったりヾ(;´▽`A``
ご迷惑をおかけします^^;
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